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社会福祉の観点から、特に高齢者介護における現場での実情をリアルにお伝えします

スターバックスコーヒーを呼ぼう!- CSR活用の原点No3-


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【転職したのち】 

現在の会社へ管理者として転職し、やっとスターバックスを施設に招くことが叶いました。過去、入居者であった、たった1人のニーズでしたがそれを実現できる事がとても魅力です。

【コンセプトへのこだわり】
この企画を実施した時、家や施設で味わうことの出来ない非日常の雰囲気を味わって頂くため、ロゴの入った紙コップを持参頂きました。また、トレードマークである緑のエプロンや店舗で流すBGMまで、準備は整っております。そもそも、スターバックスサードプレイスとしてのポジショニングを設定しています。健常者は原則家に住み(ファーストプレイス)学校や仕事場(セカンドプレイス)で大半を過ごします。そして、余暇の中でひと時を過ごす・・そんな場所がサードプレイスです。一時的にではありますが、施設内の食堂がこれからそれに変わります。

【準備段階から】
実際に会場となる施設の食堂で、提供するコーヒーを仕込んでいる準備段階から反応がありました。遠くからやってくる入居者の方々。「これはなぁに?とても良い匂いがするわ!」まずは嗅覚から反応を示します。スタート前に会場へ来た方が、次に反応したのはエプロン。店員さんに向かって「このカワイイ色のエプロン、どこの?すたぁ・・・ばっくすぅ?」(はい、そうです!オートバッ〇スではございません!!)平均年齢80代をキープする施設の方は、ほとんどスターバックスの存在を知りません。でも、コレこそが最大のキーポイントです(詳細は後程記載します)。レクリエーションの時間も近づき、もはや業界用語化している『誘導』も済み、いよいよスタートです!!

【イベント実施!!】
前職で猛反発を喰らった事も参考にし、カフェインレスコーヒーがあるか事前に相談したところ、さすがスターバックス!ディカフェというカフェインレスの豆(当時、この名前だったのかは定かでは無いのですが)もご用意。そしてコーヒー豆の説明がはじまります。大きなカラーボードを両手で掲げて、聞いている方が視覚でも理解でき、楽しめます。コーヒーの香りと聴き心地良いBGMで雰囲気は店舗さながら。そして、いよいよ試飲。打ち合わせ時に、無償で実施して頂く事ですし、高齢の方も通常1回の提供につき約250CC程度なので、コーヒーの量は少なめで良いのですが、雰囲気や演出を大切にしたいのでテイスティング用ではなく通常のカップを用意して欲しいと依頼してました。が・・・しかし、飲むわ飲むわ!驚く程に!!

【なぜ、美味しいと感じるのか】
当然「おかわり!!」の声もv スタバの店員さんも看護師も笑顔でOK!入居者の方に、なぜ美味しく感じるのですか?と問うと「香りが良い。温度が熱いのが良い」と。今回のイベントを実施するにあたりスタッフやNsには事前に、なぜこのイベントを実施したいかという意図を伝えてました。施設内という制限ある生活の中、せめて非日常のイベント時は、いつも以上に利用者の気持ちを尊重して欲しいこと。自分たちの身を守るという考え方で、高齢者の自由を制限して欲しくないこと。私たちがコーヒーを飲むとき、どこに楽しみを感じているか考えて、それを提供して欲しいこと・・・。この想いと共に、スターバックスの「職員の方も是非どうぞ☆」という計らいが、利用者へのコーヒー提供ではなく、スタッフも一緒の席に座りながら笑顔でコーヒーを飲み、会話を生みました。

【世代間交流について】
そして、今回のイベントをスターバックス側に実施して欲しいとプレゼンした時、一番大切にしたいと考えていた事が後日叶いました。イベント実施数日後、ある利用者の方が面会に来た娘と孫に「あたし、この前スターバックスラテ飲んだのよ」と言ったようです。それを聞いた娘と孫が、驚いて事務所へやってきました。母は認知症になったのか?という笑い話になっていたようです。高齢者と、その母とその孫に共通するキーワード「スターバックス」。その世代間を越えて共有できる話題に、花が咲きました。

CSRについて】
企業の社会的責任と言われるCSRは社会貢献性がとても高いためコストはかかりません。しかし、実際にはコーヒーや紙コップなどの材料費、人件費、交通費、他にも時間軸で捉えればサンク・コスト(機会損失)といったものが挙げられます。一般的には企業が、利益追求以外にも社会に貢献する活動をしている旨を株主に対してみせる意味合いがあります。ですので、企業ホームページ上でIR(Investor Relations)情報の中にCSR活動内容が多く掲載されております。この、スターバックスのイベントがキッカケで、今までCSRを活用した多くのレクリエーションを実施してきました。その内容はまたブログにアップします。そして最後に、今回の出来事をささやかですが、ホームページ上にアップして少しでもスターバックスの宣伝になれば・・・と先方に伝えたところ、「それでは社会貢献の意義が無くなってしまうので、お気持ちだけで十分です」との話。この心地よい、言葉に表せない人と人との気持ちの交流が、この業界にとって大切なものではないのでしょうか。