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社会福祉の観点から、特に高齢者介護における現場での実情をリアルにお伝えします

精神的負担(感情労働)について -人にしかできないこと-

 

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 一昨日の夜、東京ではがほんの少しだけ舞いました。また昨日は、天気の良い比較的暖かい1日でした。そして本日2月27日早朝は、少し風を冷たく感じます。

感情労働とその価値
緩やかな気候の変化でも、私たちの身体には負担がかかるものです。また身体的負担の他にも、少なからず無意識精神的な負担を抱えることがあるかと思います。仕事においても同様で、感情労働と言われる介護職もまた、精神的な浮き沈みを強いられる場面があります。介護業界の精神的負担は、一般的に考えるところの想像以上に、私たちのメンタルを左右する『振り幅』が大きいと言えます。ここにフォーカスし辛さを訴えるのも良いのですが、実際には介護業界の価値を、私たちがこの感情労働に見出していると考えています。

【もしも・・・】
くだらない例えですが、もし仮に、出勤前の忙しい時間に部屋の引き出しからドラえもんが出てきて、「やぁ、やぁ、ボクは今日からココに住むことになったから、困った事があったらいつでも相談してね。何でも出すから…」とポケットをゴソゴソしてたらどうしますか?この事を楽しみにしながら仕事に向かい、とりあえずどら焼きでも買って帰ろう!と考える人も多いはずです。

【介護現場で起こっている実例】
ドラえもんは実例ではありませんが、朝から晴天で心地良い気分で爽快に出勤したとします。朝、職場に到着すると更衣室で同僚が落ち込んでいます。声をかけると「実は、昨晩から担当する入居者の方が心臓の痛みを訴えていて・・・」と話しています。そんな同僚を励まし、仕事がはじまるとすぐに介護職がバタバタと「大変です!〇〇さんのバイタルが!!」と。看護師が慌てて片手にAEDを持ち駆けつけます。その後、連絡したDrが到着し・・・急変した入居者が居るなか、玄関からは何やら見知らぬ来客が。今後利用を検討している方が見学に来る。「こんにちわ、いらっしゃいませ!」と笑顔を見せる。見学者が応接室に入ると救急車が到着。

【激しい感情の高低差】
上司から「午後のレクリエーションを行う予定スタッフが、救急者に同乗する事になったので悪いけどやっておいて」と。午後のレクを見てみると、月に1度の誕生日会。笑顔で「おめでとうございます!」と祝福。その後、救急車に同乗したスタッフと共にご家族が帰ってくる。家族は泣きながら「実は・・・」と。。。この仕事では、日々入居者の生活に関わっているだけに、その方に対する情は厚くなります。また、同様に家族の感情を汲むこと、周囲の人への配慮を同時に行わなければなりません。また、サービス提供をする対象となる高齢者の中には、精神疾患を持つ方も多くいます。

【私たち人間にしか出来ないこと】
私たちが精神的負担を抱えている理由は、『高齢者や御家族の精神的負担を緩和さようとしている』からです。現場で働く私も含め、日々感情労働の現場で働いていると、どうしても理由を見失いがちになります。しかし、高齢者や御家族の精神的負担を緩和させようと考えているからこそ、直接介護における現場においてはAI導入が難しいと考える人もいるでしょうし、人にしか出来ないことだからこそ、この職に価値があると考えている人も多いのではないでしょうか?

人にしか出来ない仕事であるからこそ、私たちもある程度のストレスコーピング感情コントロールができるようにならなければいけません。その上で、介護に関心が少ない人に対して、介護現場で今、何が起こっているかを明確に伝える必要性があります。そして、AIなどを駆使して少しでも現場で働く介護職の負担軽減となる環境をつくり、人が人にしか解決できない問題を社会全体包括的に支えていく必要があると考えています。